netshopオープンへの道 VOL11−ジャンポール.ゴルティエ社での面接と会社を辞める決意−



2001年10月24日、私は、2階の受付にいた。
受付の電話は、仕切りなしに鳴っている。
受付嬢の喉は、大丈夫だろうか。
プレスらしき電話。問い合わせの電話。


その時、学生らしき女の子が大きなブックを持ってやってきた。

「アポもなしに来るもんじゃないわよ」

門前払いだ。
自分がここで座って、面接を待ってるのが申し訳なく感じた。


そう、デザイナー希望のフランス人にとって
ゴルティエは、もっとも、働きたいクリエィターの1人だ。

詳しいいきさつは、前回の話で


30分ほどして、とっても、紳士な感じの男の人が現れ、
名を名乗って手が差し出された。
私は、自分の名前を名乗りながら、握手をした。

この時、握手は、力強くしなくてはいけない。
前に誰かから教えてもらった。
私たち日本人には、習慣としてないことだ。


何階か忘れたが、上の階の彼のオフィスまで一緒に行き、
面接となるわけだが、、、、
なんて、いい待遇なのだろう。
1志願者にこんな風に接してくれる。動物園とは、大違いだ。
すべてに置いて、品がある。
この時、私は、自分がフランスのごく1部、
それも、地球で言う太極拳を見ていただけだったことに気が付いた。


多分、彼は、6月の面接のアポの時に電話をかけてきた人だ。
緊張する。また、コンプレックスが私の中で芽生えだした。

言葉も満足に話せないのに。。。。。



驚くことに、彼からの提案は、恵美王国がひっくり返る提案だった。

ゴルティエ氏は、2週間のバカンスに出ているらしいが、
(10月のプレタのショーが終わった後なので納得できる)
彼、曰く、6月の面接は、
オートクチュール部門のセカンドラインに関することだった。
もちろん、大変、興味深いポストだ。
そして、面接の彼自身は、
日本市場向けのデザイナーを提案してくれた。
フリーランスのパタンナーだと思って、
おもいっきり面接用に持ってきているものは、その準備だ。

おまけに、夏休み(こっちは3週間から1ヶ月夏休みをとる)の間に、
自分のブランドを、スタージュ生とともにはじめている。
フルタイムで働けない。
事もあろうに私はとっても紳士の彼に


「中で働くのは、言葉も満足に話せないし、怖い」

と言ってしまったのだ。
日本だったら考えられない。
言葉に惑わされて、とっさの判断能力に欠けている。



−完全に自分の自己軸を失っている。−



自分が、情けなかった。
大きなチャンスを目の前にして固まって動けない自分に。

にも、関わらず、とっても紳士の彼は、

「君はとってもフランス語が上手だよ。恐れないで。」と。


今だから、言える。
あの頃の私のフランス語のレベルは、学校で言えば中級の下レベル。
やっぱり、大物は、人をさりげなく上手に引き立てる。

そして、面接が終わり、とっても紳士な彼は、
1階の出口まで送ってくれたのだ。
感動した。
多分、こうゆう風に扱われたのが
フランスに来てから初めてだったのも、
感動をより大きくさせていると思う。


歩きたかったので、歩いて帰ることにした。
バスティーユから歩いて帰る道々、考えた。
そうだ、この近くに”飛ぶ鳥を落とす勢いの会社”の
元デザイナーの子が住んでいるはずだ。
電話したら、バスティーユの駅まで出てきてくれた。
途中のカフェでビールを一杯、飲んで
彼女のうちでシチュウをよばれた。
(彼女とは、その後、大の仲良しになる。信頼できる友人だ)

次の日、会社でも(いつのまにかみんなに知れ渡っている)
すごく、馬鹿にされた。
冒頭でも、書いたが、
ゴルティエは、フランス人がもっとも働きたいところなのだ。


チャンスは、逃がしたけど、
この経験は、好きじゃない仕事をしてる自分に疑問を投げかけてくれた。
アニマルでなくて、
ロジックな人格のある人たちと仕事したい。
アニマルは、本能のままだから、いい人たちなのだ。
ただ、私は理論的に仕事をしたいし、進めたい。
それに、オートクチュールの経験のない私に、
こんなすばらしいポストを考えてくれたことが
自信を取り戻すきっかけとなった。

恐れていてはいけない。自分を認めてくれる人と働くのだ。


1月に展示会がある。出展してみようか?

そして、だんだん私の決意が固まってきた。
後押ししてくれる強い味方もいた。
2001年11月中旬、私は、動物園をやめた。
1月の展示会への出店の準備をする為に。。。。。

多少の不安はあったが、やってやるという気持ちの方が強かった。

 

 

つづく・・


*このカテゴリーのブログは物語り形式になっています。今までのお話を読みたい方は、こちらへ


Cart
Category
Recommend
Profile

平野 恵美(megu)

皆様の期待にこたえられるよう、かわいい商品を企画、提供していきたいと思います。
また、ブログではヨーロッパのもろもろについて書いていきたいと思います。
サイズ・コーディネイトの相談などのりますので、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡くださいね☆

Mail Magazine
メルマガ登録・解除はこちら